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生活と考察の記録

座間市の「生活保護のしおり」

座間市の「生活保護のしおり」

座間市の「生活保護のしおり」を見て感じた問題点を次のとおりまとめました。

座間のしおり(コメント入り).pdf - Google ドライブ

 

なお、PDFファイルからWordに変換した際に一部の文字変換がおかしくなっています。予めご了承とご留意お願いいたします。

 

過去の座間市の「生活保護のしおり」

座間市は生活困窮者支援のトップランナーと評されています。様々な記事や書籍も出ています。

 

生活保護のしおり」が注目を浴びたのは小田原ジャンパー事件の検証後です。その際に小田原と同県の神奈川県の保護のしおりをチェックした内容が生活保護問題対策全国会議のブログに掲載されています。座間市は次のように問題が指摘されています

 

保護を受ける前に、「まず貸付を受けてください」というとんでもない記載がある

「不正をしようとする意思がなくても申告漏れが度重なる場合等は不正受給とみなされ」るとの記載は誤り

相談者用:保護を受ける前にまずは下記の努力をしてくださいとして、資産処分や扶養義務者からの援助を記載

保護を受ける前に扶養義務者からできるだけ援助を受けてくださいという記載がある。保護開始後のしおり2頁にも原則扶養義務を負わない「3親等内の親族」についても年1度扶養調査をするとの誤った記載がある

相談者用しおりに「扶養義務者のお宅に訪問し、照会文書を送付して援助できるかどうかを確認します」と誤解を生む記載がある。

 

4月11日の厚生労働委員会座間市の職員が参考人として、「私は生困制度が始まった頃、国の研修を受講し、TTPという言葉を覚えました。これは良い取組は徹底的にパクれの略がTTPです。座間では生活困窮者支援の先駆的な自治体である滋賀県野洲市さんの取組を徹底的にパクりたいと思い立」ったという旨を語った。

 

なるほど、確かに野洲市座間市は共通点がある。野洲市といえば生困制度の運用のトップランナーと評されているが、「生活保護のしおり」で独身女性が妊娠した場合に生活保護が廃止になる可能性があると法的根拠のない記載がされていた自治体だ。

 

私はどうしてこのような法的根拠のない不正確な記載が生活保護のしおりに掲載されるのか、そのような自治体は他者から指摘されて表面上の字面だけ修正すれば問題はなかったことになり、生困制度のトップランナーと称していいのか疑問に思う。

 

野球で例えれば(近代スポーツで例えるのは問題含みかもしれませんが)、外野の守備を極端な右寄りのシフトで守って、本来であれば平凡なフライを横っ飛びでキャッチしているところをスーパープレーとして拍手喝采を浴びているようなものではないだろうか。私はまず基本的な立ち位置を問いたい。それは、生活保護制度をセーフティネットとして機能させることです。

 

また、座間市の「生活保護のしおり」が私たちに教えてくれる教訓は「生活保護のしおり」のチェックは一時的なものではなく、不断のチェックが必要だということだ。数年前に扶養照会の問題が指摘されており、通知も改正されたにも関わらず、一切その通知を反映させないところが問題に感じる。

 

また今回は特に触れていませんが、座間市の非正規雇用職員の比率の高さと超過勤務の多さも問題だと思います。厚労委員会で国の座間市の職員が研修に参加したとのことですが、令和5年第4回定例会(第5日12月20日)に次のような会議録があります。

生活保護ケースワーカー配置基準に満たない部分のみならず、子供部門、福祉部門において、正規職員の不足分を多くの会計年度任用職員、非正規職員さんたちで補っており、その数、フルタイム62人、パートタイム286人とのことです。これはもはや非常事態であり、一刻も早い改善が必要と考えます。民生部門のみならず、職員の誰もが遠慮なく育児休業を取得し、必要な研修を受けることができ、自己研さんや体験を目的とした外部研修や国、県、他市への派遣、そして、ボランティア休暇なども取ることのできる余裕ある職員体制づくりが求められていると思います。それには残業が国の定める年間360時間を超える部署が10係も存在する、ここへの是正も急務であり、常勤職員の適正配置が必須であります。